京都

THE THOUSAND KYOTO ザ・サウザンドキョウト

ざさうざんどきょうと

京都に来たのに、どこにも行きたくなくなるかも。ほどよい間合いに隠された、1000年都市の高品質ホテル

いままで知らなかった場所を発見したとき、口外したくない想いに駆られることはありませんか。ふらりと入った裏通りの落ち着きあるカフェ、掘り出し物を見つけた地下街のセレクトショップなどなど。でも【THE THOUSAND KYOTO】は例外。ここは一度見つけてしまうと、人に話さずにはいられない高品質なホテルなのです。

まずはTHE THOUSAND KYOTO の場所が秀逸です。京都タワーの見えるJR京都駅の烏丸口から徒歩2分。改札を出て、今夜の夕食は何にしようと考えていると、前庭のあるエントランスはもう目の前です。館内へは京都の路地を彷彿させる通り庭を進み、抜けた先には6階まで吹き抜けとなった圧巻のロビー・フロントが広がります。ここには、当ホテルのアイコンのひとつでもある大階段が構えています。その威風堂々な光景は、名所・知恩院をイメージされたものだとか。黒を基調としつつも圧倒的というより温かみを感じるのは、町家を思わせる格子のようなデザインが頭上に施されているからでしょう。20m高を超えるガラス窓からは、燦々と陽光も差し込みます。

チェックインを終えゲストフロアのドアを開けると、そこかしこに機能美を感じさせる内装の客室が待ってくれています。禅の思想に触れられるような、余分なものを置かず、引き算で設えられたお部屋は、自然との融和も考えられ、旅路の疲れを癒やしてくれることでしょう。特に7タイプのスイートルームは、どこもコンセプチュアルでありながらも押し付けがましくない趣。テラスの緑と光、ゆったりとしたバスルーム、木のぬくもりを受けることができます。

お部屋での荷解きを終えたあとは、スパ＆トリートメント〈THE THOUSAND SPA〉に参りましょう。茶、炭、香を取り込んだトリートメントには、ここでしか体験できないメニューが揃っています。

さて、特筆すべきはホットバスや岩盤浴、ドライサウナ（サウナのみ男性限定）です。その規模たるや、街なかの専門温浴施設にも引けを取らない内容で、ここを目指して宿泊されるお客様も多いとか。男性はぜひこのサウナで整えていただきたいものです。

心も身体も癒やされた後は、舌も満足させましょう。THE THOUSAND KYOTOにはふたつのレストランと、ひとつのカフェでお料理やお茶、お酒を供されています。

もしあなたが二泊三日の旅をされているのであれば、初日は日本料理〈KIZAHASHI〉で旬の食材を使い趣向を凝らした和食を摂られるのはいかがでしょう。特にカウンター席はお客様が食材をネタ箱から選び、お好みの調理法で出される割烹スタイルが楽しめます。また、引き立ての出汁を使うこだわりにもご注目を。ぜひお吸い物をお試しいただきたい。

二日目はイタリアンレストラン〈SCALAE〉でオープンキッチンの活気に触れるのもいいでしょう。こちらはテーブルも魅力的ですが、カウンターに座ってスタッフとの会話をアンティパストにして、ソムリエ厳選のワインとともに京都の夜をお過ごしいただきたいものです。

また、大階段を登った先にある〈TEA & BAR〉で、昼下がりをくつろぐのもおすすめです。こちらではアフタヌーンティーも人気ということで、昼は女性客の皆さん、バータイムはチェックインを終えたビジネスマンがいらっしゃるとのこと。テーブル席はコワーキングスペース向きなので、いろいろな使い方ができそうです。

京都といえば日本を代表する観光地ゆえ、エリアに点在するスポットはどこも歴史があり見どころが多いのは周知です。だから、ホテル滞在の時間が自ずと短くなってしまいがち。

ただ、THE THOUSAND KYOTOにはそのセオリーはあてはまらないのでは、と思ってしまいます。シンプルでアイコニックな意匠、出すぎず引きすぎずを感じさせるサービス、五感を覚ます味覚、くつろぎのスパとトリートメント、駅から徒歩圏内と思えない静寂さ。　このホテルの魅力のどれもが、名だたる観光スポットに負けない魅力があるのですから。1000年の都には、相応の素晴らしい宿があるということを実感できるホテルなのです。

最後にひとつだけ。もしご滞在時間に余裕があり、ホテルスタッフが勧めてくれるなら、このホテルのチャペル〈KOMOREBIDO〉を覗いてみてください。どこか時間を忘れさせてくれるような、暖かい空間なのです。

ライター：加藤壮一